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『カルチェ・ラタン』

懸賞 2012年 02月 12日 懸賞

f0179663_20161361.jpgすっかりブログをご無沙汰していました。いろいろ忙しくしていましたが、その間に読み終えた本の覚え書きぐらいは書いておこうかと。
ボローニャ旅行の飛行機の中で読み始めた佐藤賢一『カルチェ・ラタン』。

1536年のパリ。行方不明になったある靴職人の事件を担当したのは、新米の夜警隊長ドニ・クルパン。ドニは元家庭教師で「トマス・アクィナスの再来」と言われる天才神学僧ミシェルに協力を求める。事件は次々に起き、宗教改革期のカルチェ・ラタンを舞台に展開されるミステリーは、とんでもない陰謀へとつながっていく。

駆け出しの頃は泣き虫で情けない純情な青年ドニは、美男の天才マギステル・ミシェルに導かれ、事件を追いながら成長していきます。
そして難しい神学論争を盛り込みながらも、フランシスコ・ザビエルやイグナチウス・ロヨラ、ジャン・カルヴァンなどの宗教改革といえば日本人にもおなじみの有名人たちも登場し、生き生きとした青春群像劇が描かれています。

ところで、本編の前には「序 日本語訳の刊行に寄せて」と題して、「ヴェクサン侯爵ドニ9世・ドゥ・クルパン」というドニの子孫からの序文が、本編の後には作家本人による「解説 ドニ・クルパンと、その時代」という後書きが載っています。
それによると、主人公のドニは16世紀のさまざまな文献にも名前の出てくる人文主義者にして近代フェンシングの礎を築いた人で、後に貴族の爵位を与えられた真の英雄とのこと。
そして、本書は18世紀にドニの子孫ドニ5世が発見し、19世紀に初版が出版された『ドニ・クルパン回想録』の日本語版という体裁を取っており、ご丁寧にも初版時の扉絵まで載っています。
中味も「一 私こと、ドニ・クルパンがガーランド通りの印刷屋を訪ねること、ならびに生涯忘れられない恥をかくこと」「二 私こと、ドニ・クルパンがカルチェ・ラタンを歩くこと、ならびにマギステル・ミシェルが得意の警句と推理を披露してみせること」などなど、細かい章立てと長いタイトルをつけて、いかにも古文書のような仕立てになっています。
ほぉ、そんな貴重な古文書の日本語版なのか、と思って手にとってみると・・・。後は読んでからのお楽しみです。

泣き虫ドニがいかにして立派な夜警隊長となるのか、ザビエルやロヨラらイエズス会はどのような経緯で世界に旅立っていくのか、一種の「成長物語」として楽しめるエンターテインメント作品です。
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by ciao_firenze | 2012-02-12 20:42 |