『珍妃の井戸』

懸賞 2010年 05月 17日 懸賞

f0179663_1847031.jpg浅田次郎の『珍妃の井戸』(講談社文庫版)を読了。

若手官僚と光緒帝による戊戌の変法自強運動が敗れてから4年、義和団事件から2年後の北京。反キリスト教の「扶清洋滅」をスローガンに掲げた排外運動を、欧米日の列強8ヶ国の軍隊が鎮圧にあたって義和団事件は終結した。連合軍に焼き討ちされ、乱暴、略奪で荒廃した北京に、大英帝国の海軍中将ソールズベリー伯爵が赴任してくる。連合軍の非人道的略奪行為の調査が目的だった。
しかし、満州皇族の主催するパーティで、謎の美女ミセス・チャンから由々しき噂話を耳打ちされる。
2年前の義和団事件の際、光緒帝と西太后は西安に都落ちするが、その混乱の中で、光緒帝の寵妃・珍妃が紫禁城内の井戸に投げ込まれて殺されたというのだ。

光緒帝が寵愛した珍妃は、側室とはいえ、皇帝の寵愛を独り占めする実質的な王妃であり、皇帝が唯一政治向きの相談もできる聡明な女性だった。
その妃が暗殺されたということは、皇帝自身がいつ殺されてもおかしくないということを意味する。それは、英、独、露、日などの立憲君主国にとっても、国体が危機に晒されかねない重大な事件なのだ。

ソールズベリー提督は、旧知のドイツ人将校シュミット伯爵、露清銀行総裁ペトロヴィッチ公爵、帝大教授松平子爵という立憲君主国の貴族たちとともに、ひそかに珍妃暗殺事件の調査を始める。
4人の貴族たちは、ニューヨーク・タイムズの記者、皇帝の元御前太監だった宦官、北洋通商大臣の袁世凱、同じく光緒帝の側室で珍妃の実の姉、その首領太監の宦官、廃太子となった皇族、と、次々と関係者たちから話を聞く。
ところが、記者以外は、全員珍妃殺害現場に居合わせた当事者たちだというのに、すべての証言が食い違う。それぞれが自分が嫌いな人物を犯人に仕立て上げようとして嘘をついているとわかった貴族たちは、唯一真実を語るはずである光緒帝をひそかに訪れるが・・・。

大河歴史小説『蒼穹の昴』の続編、というよりも外伝です。戊戌の親政が失敗に終わったところで『蒼穹の昴』は終わりますが、その登場人物たちのその後を知ることができます。殺人事件の関係者たちの独白という、『蒼穹の昴』とは全く違う語り口で、これはこれで面白いですが、はやり本編の『蒼穹の昴』を読み終わってからでないと、なんだかわからないかもしれません。
また本編の主人公の春児と文秀は間接的にしか出てこず、特に亡命した文秀はどうなっているのかはわかりません。
それを知るには、『中原の虹』を読まなければいけないようですが、まだ文庫化されていないのね(T_T)図書館で単行本を借りることもできるんだろうけど、いちいち外出先に持ち歩けないし・・・。早く文庫化してください、講談社さん。

BSで放映されているドラマは1回だけ見たのですが、なんだか30年前の香港映画みたいな作り・・・。紫禁城の様子は、大昔にVHS録画していた『ラスト・エンペラー』でも引っ張り出して見直すことにします。
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by ciao_firenze | 2010-05-17 19:29 |

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